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環境事業開発

研究所だより

絶滅種タモトユリが開花しました。

2024-07-31
当研究所では、日本固有種(日本にしか自生していないユリ)であるササユリ栽培の技術を応用し、ササユリ以外の日本固有種の栽培にも取り組んでいます。
その中で、自生では既に絶滅したタモトユリの栽培に取り組んでいます。
今年も順調に開花しました。1枚目の写真が今年開花したタモトユリです。

当研究所のタモトユリは、まだ流通があった頃に先代研究員が入手した系統と、ユリ栽培が趣味の方から譲渡を受けた系統の2系統があり、その2系統を交配させ維持しています。
Web上に残されている1996年朝日新聞夕刊の記事に基づけば、タモトユリは園芸用に流通し、その中で他の園芸品種と交雑してしまった可能性があります。
そこで、牧野富太郎植物図鑑と照らし合わせ、特徴を確認しました。
最も特徴的である「つぼみの先にある突起」は存在しており、他も概ね相違ありませんでした。
更に、1971年に発行された「日本のユリ」のタモトユリ写真とも比較しました。2枚目の写真がそれにあたります。
当研究所のタモトユリの花弁と葉の方が少しだけ丸みを帯びているようにも感じられます。しかし、正直違いがはっきり分かりません。
残念ながら自生のタモトユリが絶滅してしまった以上、比べようが無いのも確かです。
しかも、現在はこの流通していたはずのタモトユリさえも、現在姿をあまり見なくなってしまいました。
地道に維持を続けていきたいと思います。

3枚目の写真はハウス内で栽培したタモトユリの群生です。
開花時、タモトユリはえも言われぬ上品な香りがします。
タモトユリの学名は「Lilium nobilissimum」これは最も高貴なユリ、と言う意味です。その学名を彷彿とさせる、素晴らしく上品な芳香だと毎年感じています。



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