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環境事業開発

研究所だより

在来大豆「びんの豆」発芽しました(2)

2024-07-22
個性の強い大豆「びんの豆」。
食べてみると、とてもおいしい豆でした。枝豆にしても良し、豆菓子にしても良しで、「あぐりいといがわ」でも一時期豆菓子の販売がされました。豆腐にしたらさぞかしおいしいだろうと今も思っています。
しかし、現在栽培されていません。一般の農家さんの中でもあまり栽培が盛んではありません。
おいしいのに作られていないのには理由があります。
まず、一斉開花結実しません。簡単に言うと、だらだらと豆が出来ます。同じ株の中で、花が咲いている部分もあれば豆が出来ている部分もあります。なので、機械でまとめて収穫するとかなりのロスが出ます。この影響で、機械的な大規模栽培が非効率であるという問題を抱えています。少量栽培し、出来た豆を順に手で摘むのが一番おいしい食べ方なのですが、さすがにこれを商業的に行える農家さんは少ないと思います。
次に、「びんの豆」はウイルス感受性です。
平成17年に始まった本格的な栽培特性調査の中で、長野県農業試験場様に依頼し、栽培特性を調べて頂いた事があります。
現場を見ると、明らかに「びんの豆」が栽培されている畝だけ丈が低く、葉が縮れていました。周囲の大豆が同じウイルスに耐えられているのに対し、「びんの豆」だけは発症していたのです。
これは、そばに他の大豆がいた事も大きな要因となっています。最近はコロナの感染で知られるようになりましたが、耐性のある個体がそばにいてそれが感染していると、感受性の個体がこうして発症してしまうのです。
なので「びんの豆」だけ栽培し、同時に防除をしっかり行えば発症を抑える事が出来ます。ただし「びんの豆」だけに特化した栽培を余儀なくされます。

とにかくとてもおいしい大豆です。それだけは確かなので、個人的には不憫な豆だなあ、とは思っています。

写真は自動潅水システムの下で育成中の「びんの豆」です。


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